星にならなかった河童 第三章 人数の合わない年
板谷みきょう
その年、
帳面の人数が合わなかった。
一人、多いようでもあり、
一人、少ないようでもあった。
誰も慌てなかった。
数え直せば、“誰の名”を
呼ばなければならないか
分かってしまうからだ。
帳面は閉じられた。
人数が“合わないこと”は、
なぜか村に安堵をもたらした。
空白のページには、
誰かがこぼした“黒い油の染み”が、
じわりと広がっていた。
今年も、川は川のままだ。
そう言い聞かせるように、
染みは少しずつ大きくなっていった。
その染みは、拭えば消えたが、
誰も布を持ってこなかった。
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童話モドキ