生の北方・死の南方
ひだかたけし

何処かに何か置き忘れて
解らぬままに此処迄来て

赤い旗の
ぱたぱたぱたぱた振られる日々

鉄路回収作業の
いよいよ終わりに近付き

近付けば近付くほどに

寝ても覚めても
最早変わらぬ
光溢れる意識の視界
より輝き増し続け
今やヴェールとなり塞がる如く 

      、

ちょっとしたこと階下で起きては
日々の上っ面だけ捲られ塗り変えられ

灰色雲の今朝に重層しうねりにうねり
今にも雪降りそうに冷え込みながら
街道沿いに裸になった街路樹延々

いつか何処かに
置き忘れてきたもの
きっと明らかにするため

いつの間にか雪降り頻り
全てを喪失した
あの日を蘇らせる何ものか 、

脳髄刻み込み抉りつつ
思考力動のよりリズミカルに
くるくるぐるぐる円を描かせ

意識の内に
赤やら青やら紫やら
色々な色彩の
ぽっと浮かび上がり
しばし漂いながら

いつしか繁る高木の
照り輝く緑の色彩の群れ
ゆらゆらゆらら ゆぅらゆら

無音のままに延び拡がる時の

一瞬、光のヴェールを突き破り
ぐにゃりやはらか
光帯びる己、人体形姿の輪郭崩しながら

全ての意味が剥離し色褪せ

此の世のものでは有り得ない
蠢く生命それ自体の感触だけが浮き上がる





自由詩 生の北方・死の南方 Copyright ひだかたけし 2026-01-22 08:53:48
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