ぬくもり
杉原詠二(黒髪)

愛する家族をみんな失って
絶望に囚われてしまったら
最後の絶望を失ってよ
最後の絶望とは
自分が
いなくなることだと
思っていた

けれど
人は
死すべきものだった

愛と希望があなたを
温かく包んだことがあるでしょう
人である限り
どんな人にも
ぬくもりがある

すべてを投げ出して
愚かで絶望的な闘いの中にいても
ぬくもりはあなたの
中と
外にある
そのぬくもりは
あなたの心臓が作り出しているものと
同じものだ

永遠に生きることのできぬ人間は
壊れないように
そっと運ばれていくよ
それは何かの聖性を帯びた
最後の恩寵のように


自由詩 ぬくもり Copyright 杉原詠二(黒髪) 2026-01-14 19:25:25
notebook Home