捜月
りつ
月が行方不明になったから
月を捜して彷徨った
夜の海では夜光虫が瞬たき
青く発火していたけれど
月はいなかった
枯れ野で風に訪ねても
実態のない躯をうねらせて
けたたましく笑いながら去ってゆく
高い塔から
雲に行方を問い質しても
沈黙の聲が谺するだけ
星たちは
賑やかに唄を奏でていたが
だれも月がどこに行ったか知らなかった
月がいなければ
生きてゆけない
いつもの優しいメロディで
うつくしことを騙ってよ
幼子みたいに安心しきって
容易く眠りに落ちるから
月がいない
絶望とは渇いた苦い哀しみだと知らなかった
日々は無邪気にずっと続くと信じて
嘆きの意味など知らないまま
老いて土に還るのだと疑わなかった
永遠の夜をさ迷いながら
わたしは無明を数えている
月を捜し続けている
この呼吸が終わるまで
心臓の最期の一打ちまで