うまやで出逢えたミューズ
百富(ももとみ)
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食べることは、いつでも、くるしい。盛りつけなされた時点で完成しているものを崩して食べることなどは栄養を盗みとる気分になって、おなかがしくしく傷むよう。
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感傷的にならないから、マクドナルドを選びたがるのかもしれない。オーストラリアのアスペルガー症候群のロックン・ロールの歌い手が、マクドナルドがすきすぎて、マクドナルドでアルバイトしていたお話しをお聴きした。
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均一空間に響く泣き声あったなら、そのお隣りでおうたを歌って、肩を並べてハンバーガーを食べたいような気分だ。
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ハンバーガーをはむーっと食べる所作が、どこか子どもじみているのは歯の生えた状態で、おっぱいへとくちづけることと似ている。
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並はずれて、おかあさん子だったぼくは入園しても、おかあさんのおっぱいを吸いたがった。みかねたチチが、おかあさんの乳首に、からしを塗りつけ、一瞬で、ぼくは、ちち離れしたのだった。
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チチは、ぼくへと、二番目に生まれた子どもは感動がすくなかったといったものだが、おかあさんは明らかに、ぼくの存在を贔屓していた。
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生まれついての相性は存在する。チチが、おねいさんをひとすじに尊重する教育をはじめたことも無理はなかった。ぼくは、おかあさんに愛されすぎていた。
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おかあさんはかわいい。きれいな無償の愛情をぼくのものへと置き換える。
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いくら、おかあさんからの猫かわいがりを粗末な言葉で傷つけられることがあっても、いつでも、ぼくは、はにゃーっていって、おかあさんとふたりで、ごろごろごろごろうたた寝することだろう。
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理由があって、二度と実家へとあしを踏みいることができぬような立場でも、ぼくは、おかあさんを地上のヴィーナスだと信じて疑わないっ。
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両腕のあるミロのヴィーナスが、ぼくのおかあさんなんだっ。おかあさんのことを傷つけられてしまうものかよ。
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哀しみ叶うことはないのです、誰だって、おかあさんにとってのいちばんでありたいよ。
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ぼくから、おかあさんを奪おうったって、オトウサンってお名前のひとに勝ち目のようなもんはない。
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むねをはっていうぞ、ぼくちんはマザコンだっ。
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おかあさんが欲しいのならば、てめえのママンに甘えやがれよ、オトウサン!
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ばちーんって、音で、いままでならば、床に倒れていたようなもんさ。ただし、あくまで、こちらは、ぼくちんのアパートメント。
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ぼくのうまやで出逢えたミューズ。何度でもいうぞ、生まれてはじめてすきになれたひとは、おかあさん。おかあさんだぁ〜!
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ハグーっ、ハンバーガーをはむーっ。
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