好きな理由がなくても
杉原詠二(黒髪)

ときにくずおれ
また目指し
人は毀誉褒貶繰り返し
自分の心と価値を育てる

人から賞賛を受けて
頑張って
世界と向き合う

冷たい冬の空気が
現実を告げ
工夫と努力の必要を知らせます

人間は簡単に死んだりしませんし
心もしぶといですが
一瞬の苦しみを
逃したくはないのです

見逃した苦しみは
去って行きますけど
私は何かを掴むべきだと
考えております

もはや業を恐れません
業の深さが私の心の深さに
なればいい

鈍い空の色に
心を預けていると
だんだんと眼は
回復していきます

心の中に抱えるのは
灯と
愛する思い
全ての矛盾の力を使って
私の大切なトートロジーを
肯定しましょう
「好きな人が好き」
「愛しい人を愛する」

情報量は増えませんか?
気持ちは情報に含まれませんか?
たとえ地が裂けようとも
私はトートロジーを繰り返します
手渡されたとき
トートロジーは
私に向かって返ってくるのです
返答がありました
その事実は
もはやトートロジーではありません

私のひとりぼっちの苦しみの呼吸は
もはや愛しい人を見つけた世界の中で
緩やかに漸進的な回復を見せ
生命の呼吸へと変わっています

苦しみを受けるときはひとりぼっちですが
人は苦しみだけを受けるのではありません
たとえ苦しみの中で死んでいくとしても
手を取ってくれた人
声をかけてくれた人
心配してくれた人のことを
忘れなければ
生きてきたことは無駄ではなかったのです

確証や
誓いを追い求めても
必ず見つかるとは限りません
しかし私たちの言葉は
確実に作用しており
支えがなくても
無意味の氷の上を
滑っていくようなことはありません

温かい血と
熱い涙が
私たちの生を
ずっと見守ってくれています


自由詩 好きな理由がなくても Copyright 杉原詠二(黒髪) 2026-01-05 11:10:43
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