小夜曲
りつ

小夜ふけて
くちづさむ淡いメロディ
もう会うことのないひとを想っている
最初から知っている気がした懐かしさ
一挙手一投足
しみじみと愛おしい
遠いお星さまになってしまったひと
覚えている
手のぬくもり
髪の匂い
小首をかしげて笑うくせ
あなたと生きる筈だった未来に
ひとり佇み
永い夜を越えてゆく
ふれた手の熱さ
ゆっくりとくちびる重ね
求め合い満たし合った小さな夜
わたしたちは
ふたりぼっちの野良猫みたいで
寄り添って眠った
互いの暖かさだけが真実で
手が触れてるところが発光して
溶けてしまいそうだった甘さ
忘れることなどできやしない
悲しみは未だ痛く
時間は止まっている
いつかまた逢いましょう
時の果てで待っていて


自由詩 小夜曲 Copyright りつ 2025-12-26 00:18:23
notebook Home