小夜曲
りつ
小夜ふけて
くちづさむ淡いメロディ
もう会うことのないひとを想っている
最初から知っている気がした懐かしさ
一挙手一投足
しみじみと愛おしい
遠いお星さまになってしまったひと
覚えている
手のぬくもり
髪の匂い
小首をかしげて笑うくせ
あなたと生きる筈だった未来に
ひとり佇み
永い夜を越えてゆく
ふれた手の熱さ
ゆっくりとくちびる重ね
求め合い満たし合った小さな夜
わたしたちは
ふたりぼっちの野良猫みたいで
寄り添って眠った
互いの暖かさだけが真実で
手が触れてるところが発光して
溶けてしまいそうだった甘さ
忘れることなどできやしない
悲しみは未だ痛く
時間は止まっている
いつかまた逢いましょう
時の果てで待っていて