認識に関する五つ目の欠片を溶くには多過ぎる水の表面に

ぷかぷかと
浮かんでいるように見えますか
それは
沈み損ねたのですよ

強風に 微風に
打たれては向きを変え
大波に 小波に
押され引かれ流されて

陽を 月光を 星明かりを水と
様々な形態の水とともに浴びながら
ぷかぷかと

今やその所在を気にすることも久しくなり
時には自由のために喘ぐことがあれども
未だ沈みきるに至らず

ぷかぷか

ぷかり


思ったのだ。私はストロビラではあるまいか。

私であって、私ではない私が
いつか受けた風を
いつか受ける水を
ありもしない光を
回想 空想 誤認しているだけではあるまいか。

――液体の分子は動き続けているそうです。気体のよりは穏やかに、固体のよりは雄大に。


自由詩 認識に関する五つ目の欠片を溶くには多過ぎる水の表面に Copyright  2025-12-20 19:34:45
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