無様
鏡ミラー文志

刀鍛冶職人が、納得出来る刀を研ぐまでの年数
一本につき、約十年
ネトウヨが、その悪意を吐き散らすまでの秒数
一文字につき、約0.1秒
花火職人が、世界に喜びを届ける作品を完成させるまでの日数
一作につき、約一万日
大食感が、ポテトチップスを口に含むまでの分数
ポテチ百個につき、約三分
ダンサーが人前で納得のいくダンスを披露出来るようになるまでの月数
一回のターンにつき、約五ヶ月
男と女が互いの精子と卵子を絡ませ、出来ちゃったするまでの時間数
たった一人の子供につき、約二十四時間
耐えて耐えて耐えて、忍んで忍んできた人々の持つ年季と誇りと
発散して発散して、解消して解消してきた人々の持つ幼さと虚栄心と
恥ずかしくないのかい?
あの太陽睨んで、ありがたいと思うか? ただ、眩しいと思うか?
恥ずかしくないのかい?
あの雲は雨も降らすし、日照りから我々を守こともある
感謝すること。耐えることしなければ出来ないこと
親に、産んでくれてありがとう
友に、付き合ってくれてありがとう
先輩に、仕事教えてくれてありがとう
月に太陽に神様に、僕たちを守ってくれてありがとう
みんなみんな、ありがとう
それがない人生は、酷だ、無様だ……


自由詩 無様 Copyright 鏡ミラー文志 2025-12-19 17:19:36
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