詩美人草
ハァモニィベル

詩美人草が
咲いているのは
何処なのか?

世界にたった一つしか
咲かないわけでも
あるまいに

まさか…

ベランダの角
珈琲の湯気の中
空をく鳥の眸

では有るまい
でも在るまい
その片隅にさえ

咲いてはいない 
詩美人草が 
一輪だけでも
咲いているのは 
何処なのか?

満腹のビルの谷間
優しさの檻の奥
寂しさの棺の蓋

でも存るまい
にも在るまい
にも咲くまい

「詩美人」と云うのは
別に女性名詞なわけじゃ無く
特に性別は無いそうだ。

唯、判っているのは
一つの事だけ。

人間は、食べたら糞をする生き物だが
《詩美人》に限っては
食べても糞をしないのである。

《詩美人》もまた
日々を食べる のだけれど
食べては苦悩の毎日 が
連続だけれど
なぜか不思議に 
それを糞にして出すことが無い

一生を、食べて糞するだけのヒトと
そこだけが違うだけだが

人生の苦さを味わい
噛みしめ乍ら
毎日、毎日を
頬張ほおばってるのに

詩美人が踏ん張った跡には、何故か
その指のその先に
さまざまな うつくしい
《詩美人草》が
咲くと云う







自由詩 詩美人草 Copyright ハァモニィベル 2025-12-18 01:18:51
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