奇妙な日々
岡部淳太郎
この生には
なんとも奇妙な日々がつづいている
流されて 打ち上げられて
無意味に蠢くだけのこの不具の身体
それでいながら守られて
意志を発揮する間もない時がつづき
あるいは罰のようにさらされて
動くことなく 静かに時を過ごすだけで
そうして年も暮れようとして
外側のざわめきに加わることもない
このおとなしく また奇妙な境涯
おまえはこのいのちの時間で
何を失い 何を支払ったのかそれでいながら また新たな
夢を見るのを諦めることも出来ず
いまここで おまえは
どうしたいと思うのか
そんな声が聞こえるが
それに答えることも出来ず
ゆっくりと動かないままで
死なないだけの生きる時間が過ぎてゆく
この奇妙な 恩寵でも
罰でもあるような日々は
俺という主体に何を求め
何を強いて 何を教えようとしているのか
そんなことがわかるはずもなく
今日もまた 本来異なったはずの
同じような日々が
俺の前を他人の顔をして通り過ぎるだけだ
(2025年11月)