焚き火
atsuchan69

粗末な哀しみを夜に浸し、
柔らかくなった端くれを口へ運ぶ

牛脂の付着した鍋に、
豆と小麦粉、
岩塩を加えてシチューを作った

焚き火に、美しい魔女が裸で踊っていた

火のそばが母のぬくもりに思えた

燃え盛るゆらめきの中で、
硬い干し肉を齧る

バーボンとビスケット、
赤いレンズ豆だけのシチュー。
もうじき懐が潤ったら、
酒場の二階へ上がり
派手な化粧の女を朝まで愉しませてやる
それまでは、バーボンが相手だ

夜の寂しさよ、
もっと近くまでやって来い

朝になったら、おまえとは他人だ





自由詩 焚き火 Copyright atsuchan69 2025-12-10 05:18:26
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