冬のウサギ
秋葉竹



冬は
ウサギになる

セロリばかり食べている
それだけ食べていれば
からだじゅうが綺麗にすき透る気がして

むろん
そんなことはないんだけどね

悲しみが
薄まるような気がして

むろん
そんなこともないんだけどね

冬はかならず
ウサギになる

凍えながら
震えながら
あたたかい言葉を待ちわびる

注目するべきなのは
だれもわたしがウサギになっていると
気がつかないことだ

まぁもともと
ウサギみたいに可愛いからな
なんつって

氷砂糖をボリボリ噛み砕いて
けんめいに前歯を鍛えていたからな

しののめの朝は
さすがに涙をこらえるのだけで
せいいっばいだったな

聖夜もちかいと云うのに

わたしは無罪だ
とじふんでは信じているが
無罪だから真っ白なわけでもないからな
決めつけもするし
憎しみもする

さまざまなこころは
どもよす波の涙のような色合いで
理想なんて怖いって被害妄想におちいる

聖夜も近いと云うのに

冬は
ウサギになる

けれど
おそらくわかっていないと想う

わたしがなるウサギは
闇よりも暗い
黒ウサギだってこと








自由詩 冬のウサギ Copyright 秋葉竹 2025-12-08 15:13:24
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