彼岸を探して
杉原詠二(黒髪)

相手の傷が私に移り
互いの範囲で緊張する
これ以上はだめ
一息ついて
後でまた考えてね
わたしも言い過ぎないから

あなたが幸せになることが
一番大切だから
そのためということは
わたし自身にさえ裏切れない

世の構造を
ひとつずつ見通して
幸せへ向かうために
今日という新しい日に
この世の永遠を思索する

旅の行き先は
内的彼岸
彼岸が夢を融和させて
すべてが溶けてドロドロになる
溶けた縁
こころの境界はもう無い

愛が融通し合う
わたしもあなたも
元々いなかった
こころが感応し合う
じっとしているだけで
すべての存在を感じる
響いた声
眩しい光
すべてを内側に取り込んで
存在において幸せになる

表情の陰りを
拒絶だと思い込んで
こころがひとりで痛んだ
勝手に傷ついた

わたしの声は聞こえますか
あなたの優しい声が聞こえます
無音と響きが一緒になって
広がっていく
穏やかな光が生じて
周りを染める

気づいたよ
この世のすべては
すでに報われてある

共業
わたしのこころをドロドロに溶かす
すべての縁をひとつにつなぐ
ひとつひとつのこころが
輝いて反射し合っているのを
みんなが感じる
安らぎの中で
静かな息を繰り返す

視界を閉じれば
良いところも悪いところも
ぜんぶが沈黙の中で融合して
知り合うことが
存在することと
同一の地平に置かれる


自由詩 彼岸を探して Copyright 杉原詠二(黒髪) 2025-12-08 14:39:59
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