よい細菌と共存しましょう
百(ももと読みます)


 真夜中にしにそうなった。日づけが変わったときにメールの送信ができるように設定してからお眠りした。



 耐酸性食品カプセルというものがある。胃酸から保護されて内容物が腸までお届けされるカプセルらしい。腸の指令で生きたいと感じるだけなのだろうか。脳はわがままであるらしい。本当のぼくは脳が主体となった水槽のなかの脳である可能性もある。



 めずらしく夢をみた。はじめての恋人と恋人の愛するかれのもとの恋人とぼくがおんなじ建物のなかにいて、ぼくの恋人(だった)ひとにお電話をおかけすると着信拒否されていて、それなのに、なぜか、ぼんやりとした音声をお聴きすることができて。どうやら恋人は、もとの恋人と密会しているようで、お話しの内容は聴きとれない。



 ぼくのおかあさんが登場して、なぜか、かれらのもとへと連れていってくれて、恋人のすきな恋人だったひととはじめてお会いすることができた。



 サマーセーターのタンクトップを着用なされた立派なにのうでをおもちのかただ。想いのほかざっくりとしたおとこまさりな印象のかたで、しっかりとお化粧をなされた強いまなざしのまま、分けへだてなくぼくへと話しかけてくれる。



 よい印象だ。恋人は自立した女性がおすきなのだ。どこか怯えた感じのかれをみる。なにもゆわない。虚ろな瞳で、ぼくから目を逸らすことに集中しているかのようだった。



 目覚めのときに朝がきていた。あんなにしにたかったのに、ぼんやりしながら、夢を咀嚼している。鏡をみる、ぼくと出逢う。笑顔のぼくをみると、しっかりして支えてあげないとって想えた。

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 本日は、この夏の恋人のバースデーだ。自分を傷つけたひとを赦すためにも、ぼくを諦めないでいたい。



 つよい気持ち、どこにもない。弱くてたまらず、なんのギフトもないぼくだ。それでも、傷だらけのぼくを迎えにゆけるのは、いまのぼくだけ。



 大丈夫だよ,「いま」はここにいるよっていって、ぎゅーって抱いてあげたい。ひとに愛されているよ、きみは特別なんだ。



 ぼくをからっぽの風景にして、ぼくの愛する恋人を人類というくくりに置き換えること、したいな。



 フラグづけをやめよう。恋人は名前のある人間で、名前のある人間が人類のほとんどで、人類のほとんどとぼくは知りあっていなくて、知ることもできないけれど、祈ることはできる。



 きみたちを祈ります。そのためのハッピーバースデー。お誕生日おめでとうございます。本日も人類は生まれた瞬間から傷だらけです。よい細菌と共存しましょう。



 おんなじ腸内フローラをふたりで歩くことのできないふたりが恋人なんて、だじゃれみたいな地球だな。



 つよがるのは、もうやめます。ぼくはまっすぐな言葉を遣って、多くのひとにうとましがられて、すきだよ、愛しているよって、誰にでもいったし、いまもいいたい気分のドン・キホーテなだけなんです。



 おはようございます。


散文(批評随筆小説等) よい細菌と共存しましょう Copyright 百(ももと読みます) 2025-12-01 08:00:03
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