開封
ただのみきや

橙色の着物に黒い帯をしたあねさま人形が二つ
コンクリートの壁の前で銃殺された
こどもたちの口の空砲
おとなたちの目の録画機能
遠い国の炸裂音が夜の耳をルミネーションで飾る
ジャスミンティーの湯気は幼子の手の仕草
石化された自己像の亀裂をなぞる
一日は青白く燃えて燃え尽きる
冬の一日は仄暗い一輪の花
わたしたちの魔法はことばが通じないこと
奇跡とはこの陶器が隙間ない孤独だということ
美しいものと向き合うとたましいが血を流すこと
だが果肉ばかりを腐らせてその核芯は絶対の無感覚
死の種子 生まれたときから化石
星が降るように地に降った
夜のかけらか黒曜石か
したためた手紙は裸の恋を覆うまじない
歴史は恨みつらみの貝塚だ
その上に敷物を広げ厚化粧
春には花見で鬼女遠来
冬はクリスマス聖女万歳
呪いしたため恋したため
折って飾ったあねさま人形
ああ帯をほどいてみましょうか
着物ぬがせて見せましょうか
平和の名をもって呪いましょうか
自由の名をもって 正義の名をもって
千羽鶴で呪いましょうか
結構よ滑稽よ亀甲縛りのさらし者よ!
わたしはわたしの恋でいい
呪いしたため恋したため
折って飾ってあねさま人形
橙色の着物に黒い帯コンクリートに打ち付けられて
世界は燃えているわたしは湿気ている
あねさま方叫ぶ叫ぶ無い口ふるわせて絶叫する
固く縫われたはずなのに
あねさま狂って紙吹雪
むくろ覆って降り積もれ
五色の風花 忘我の花びら
痴れもの触れもの無礼もの
甘くもだえよ乱れよ真水


                    (2025年11月29日)









自由詩 開封 Copyright ただのみきや 2025-11-29 11:41:23
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