ぼくのももちゃん
百(ももと読みます)

 ちいさな秋のなかで、ちいさくなってゆくぼくのなかの夏の風景。手をふるきみと出逢えただけのただの木漏れ日。



 いま、うちひしがれる想いとすでに手を繋いでいて。大変だったね、これからは守るからといって、ぼくは、ぼくを抱きしめている。居心地のよさの深みとして生きることをぼくにあげる。



「きみ」へとぼくはいいました、いつか、きみに生まれて、ぼくは必ずももちゃんを倖せにするからね!



 ぼくは泣いて、キッチンで毛布にくるまって。ぼくは泣いて、深夜の暴走バスみたいに走行中の車へと体あたりしそうになって。きみはとめて。きみはとめて。きみを泊めるために、ぼくは食べることをやめて。きみが食べるために、ぼくは生きることに殺される想いでおかねを失った。



 だいすきだよ、愛しているよ。それでも、ぼくは人間よりもただの人間で。メシアでなくて、パンを分けても、それはふたつで。ふたつにしかならなくて。



 きみのメシアになりたくて、泣いて、叫んで、まるまるようにきみの腕のなかへとおさまって。ぼくを飼ってほしい、ぼくを閉じこめてほしいといって、きみのなかのいちばん古い書籍となるためだけに生きていた。



 夏に似合いのおしまいです。渡されないままの指輪の位置に自分の指を置きました。かわいさで狂ってゆくぼくの哀しみ、まるくなり、ちいさな猫のお祭りする気分で自分をゆっくりと盛りあげてゆくこと努力します。



 毎日、二時間くらい歩いています。もうすぐお仕事の体験にゆきます。ぼくが頑張れば、きみとの明日もあるよって、きみのでていったままのキッチンの片隅へと語りかけるようなところがあります。



 ぼくへと投げるように渡したあいかぎ、きみの投げた匙をぼくは受け取り、それでも死ぬことしなかった。



 すこしは成長できたかな。ぼくはどこもわるくないから、きみもなにもわるくない。からだ丈夫でぴんぴんヨガーしているよ。



 明日の泪も楽しみです。哀しみいってしまってから、ぼくは、ぼくのももちゃんなった。ぼくは、ぼくを守ります。ずっと苦手だったこと、自分を大切にすること。



 がんばったね。きみもよくがんばった。ぼくの顔をしたきみはいなくて、ぼくのふりのできるぼくもいない。ぼくのお部屋の真ん中に、ぼくがいる!



 ぼくを助けにきたよ、きみがいう。一度でも愛してくれたこと。生きていて嬉しいっていう、きみ。がんばったね。きみはよくがんばった。ぼくはいつまでも,「きみ」を忘れずに愛して祈ることしかできない。


散文(批評随筆小説等) ぼくのももちゃん Copyright 百(ももと読みます) 2025-11-26 00:00:03
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