照点
りつ

万華鏡を廻すと
次の結晶が像を結ぶように
調子っぱずれのメロディは
次の照点へと向かい始める

狂った時計が夜を告げている
午後9時の騒めきは
書くことばに不協和音を混ぜる
純粋を望むことなど
とっくの昔に忘れ果てた
ただ、
踏まれても踏まれても
決して折れない花がある

肩のちからを抜いて
凝り固まった思考をほぐして
私へと潜ってゆく
たったひとつのことばを探して
流れに添う旋律を選ぶ
ことばに息を吹きかけ
情熱のままに置く

誰かに届けと
祈るような想いで

与えることで
宿るいのちがある
さあ、
万華鏡を廻そう
繰り返し繰り返し
ウテナを昇っていくように


自由詩 照点 Copyright りつ 2025-11-23 21:39:18
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