烙印(25年前の短歌)
りつ

誰そ彼にいとしきひとの名を呼びて
         かへらぬ背中憎く愛しく


はかなきはひとのおもひと知りつつも
         街の歯車ゆめを明日へ


雑踏の片すみに咲く花一輪
         スモッグ色の空を見上げて


「愛シテル」ただの言葉遊びだね
         ココロもカラダも拒否するくせに


イヤ!イヤ!と叫ぶ心に鍵かけて
         行為の後の涙ひとつぶ


どくどくと鼓動みゃく打つのどもとに
         血の色ルージュ私の烙印


果てたのち眠る男の残骸に
         背を向け放つほほえみの謎


短歌 烙印(25年前の短歌) Copyright りつ 2025-11-23 19:21:51
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