粉雪
山人

すこしだけ何かを言いたいのなら。

さようなら

繰り広げられる白い雪の
すべてをさらけ出した清いあきらめが
くるおしく皮膚にしみこんでゆく

季節の記憶が旅立って
たどり着くことができない宇宙に
その結晶が粉雪となって降りしきる

いっときも止まることなく
砕かれた記憶が白く浄化されて
空から音もなく
あたらしい私たちの
上に降り積もって。


自由詩 粉雪 Copyright 山人 2025-11-18 04:13:15
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