ひととき
花野誉


今夜も その笑顔に癒されている
カウンターで
コースターを弄りながら話す

目の前のグラスは
緑の照明にぼやけて滲んでいる

近すぎる席に感じるのは
貴方が大柄だからでしょうか

いつも なぜか
同じ夜に隣り合う
よく笑い 優しみのある子
温かい光が見えた

生まれは天草で
行ったことがないのに
懐かしい海が見えた

帰りは危ないから、と
何度目かの帰り道
池の畔で 脇道にそれる

きっと どこかで
胸の奥を少しギュッとされる
そんな日がくるんだろうと
ぼんやり思いつつ

今はこうして隣
その笑顔に癒されている



自由詩 ひととき Copyright 花野誉 2025-11-17 22:09:16
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