美しい祈り
りつ
美しい祈り
柔らかな陰影が
世界を自在に象ってゆく
無防備な赤子が泣くような
切実さで
祈りは折り畳まれる
切迫早産する未熟さの
後に来る
大いなる実りを
刈り取る準備は
まだ出来ていない
どんなに祈っても
叶えられないと嘆く夜も
雨の日のノクターン柔らかに満ち
祈る声はしっとりと濡れ
遥か宙を凌駕する
震える拳を握り
ただ、祈る
涙が枯れ果てた後に
咲く花があるように
荒地に
ひとつ
ふたつ
明かりが灯る
やがて天は応うる時を知る
美しい祈りが響き渡る
天に地に
こころに身体に
あめつちに
大いなる恵みは
やがて豊穣の大地に輝く
実りとなる日まで
祈りが絶えることはない