みかん地獄
花野誉


食べても食べても減りません
いつかは無くなるのは
わかっていますけれど


みかんの季節です
待ち焦がれた季節がやってきました

大きなバケツに山盛り
有田みかん 四百円 
「お姉さんら、二つまけとくわ」

職場の道挟んで真ん前
臨時の販売所へ
職場の人たちと
いそいそ買いに行きました
安い、多い、嬉しい!

翌日、実家にて
「みかん、買っておいたから」
断れず持って帰りました

スーパーの袋いっぱいのみかん
優しさ、重みとなって腕に食い込む袋
親心ギュッと詰まった橙色
嬉しくて苦笑いです

帰宅したら玄関に段ボール
「大分に移住した友達から」
夫が言います

一抹の予感──そして的中
箱いっぱいの橙色
言葉を失いました

どないしよ
この、ようさんのみかん











自由詩 みかん地獄 Copyright 花野誉 2025-11-09 11:40:35
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