月神
りつ
月神は灰塵を踏む
死者たちの骨灰が
静かの海に降り積もり
夜を呪詛するように
祝福するように
鳴く月の砂漠を歩く
風もなく
極寒も灼熱も
容赦なく巡り廻る月に
音だけがある
1弦の琴
祈りが螺旋となり
水銀柱を駆け昇る
1/fの揺らぎ
寄せては返す
さざ波の心地好さ
死者を弔う
光と陰の
モノクロームの地に在り
地球は蒼く
郷愁を誘う
月神はひとり佇み
馴染みのない風変わりな歌で
自分自身を愛撫する
見果てぬ故郷に
降り立ちたいと
願いながら
灰塵を踏む
自由詩
月神
Copyright
りつ
2025-11-08 21:28:15
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