産経歌壇2017・02・466 もっぷ
エヴァル-ジュ
二二五唯の数字に囚われる今日は土曜日フルーツパーラー
降りそうで降らないこの手に掴んだら自転車で行く一人の道を
窓の外眩さの増し嘘つきの耳に聞こえる絶え間無き雨
わかり合うすべを知らずにわかるよと云うし聴きたい赦しあえるから
アスファルト影が一つに戻ったと唯それだけと心臓に云う
潮騒のあてのなさゆえ悲しくてやりきれなくてだから泣いてる
子供用2段ベッドの本棚の無限思えば今日は小さい
目と耳と口を喪いお祈りしたら明日は晴れるか
自転車がいないところで『本当は自動車がいい』とタワー懐かしむ
夢を病んで初めてわかる今私秋に行きたい銀杏が見たい
繊毛
サントリーホールP席最後列まん真ん中で『運命』を聴く
解
手作りで夢を歌って現実の個を見たく無い観られてはいても
ブルーブラック
春霜を今日も潜りて友のふみ
事の次第神々の手持ちは瑠璃色だけでした
永遠
東京湾から夢の島桜貝