月の子守唄
りつ

午前2時の沈黙は
私を深海へといざな

そこにあなたはいない
私はゆっくりと呼吸しながら沈澱する
ひかりも届かぬ真宙の海で
腕も脚も折り畳まれたように
小さく蹲り
このまま永久とわに眠ろうか
最後の一呼吸も放たぬままに
静かに腐乱する骸になろうか

泡にもなれなかった想いを
昇華するすべを知らない
時が濾過し
透明に還るまで
仄かに淡く色づき
こころうちを漂っている
ずっと信じていたかった
この想いを

月よ
子守唄を唄ってくれないか
波音が寄せては帰りながら
遠ざかっていくように
この想い出が風化するまで


自由詩 月の子守唄 Copyright りつ 2025-11-02 20:57:36
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