人間喜劇
秋葉竹

おいくつぐらいだろう、
70は優に超えていて、
80には届くかどうかというような
御年齢の男性の方が、
ウォーキングというには、
少し小走りのような時もある
という歩き方で、
早朝5時台に歩かれている姿をみかけた。

白い帽子に、黄色いTシャツ。
白はともかく、黄色が、
年齢にはあまりそぐわないイメージ、
だったとしても、
それだけなら、
べつに特筆するには
及ばなかったかもしれない。
その黄色いTシャツの背中に書かれた文字。


人生、…………
人まかせ


それも太字ではなく、
細い赤色を用いて手書きのような文字で。



いいでしょう?(どや顔ッ)



いや、
私が何かをしたわけでも、
云ったわけでもないんですがね。

でね、
そのTシャツ例えば
10代、20代、30代、40代では当然、
50代や60代でさえ、
その程度の年齢の人たちが着て歩いていても
そんなにインパクトはないんだよ。

僕がみたような、
人生の一仕事を終えた後、
のような
(違っていたらごめんなさい)、
それでも若々しくあり続けたいと希う方が
着ているという、衝撃

(かな?ま、
リスペクトを込めて、
おかしみ、
と云ってしまっても
いいのかもしれないけれど)、

更には、
街中でその衝撃をみ逃さなかった僕の
まだ、衰えていない感性の確かさ、
その水もしたたる心の水水しさを、
実感できたことがうれしかったのだ。



朝しらむ
街を舞台にさまざまな
人間喜劇はいつでもつづくよ








自由詩 人間喜劇 Copyright 秋葉竹 2025-11-01 20:33:33
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