砂時計
佐白光


 時を刻んでいることも忘れて
 落ちてゆく砂の流れを見つめてしまう
 上から覗けば蟻地獄だ
 むかしむかし縁側の下に蟻地獄を発見
 アリンコを落として遊んでいた記憶が甦る
 ある時ある瞬間に子供は残酷だ
 自覚症状がないから手に負えない
 大人になったからといって自覚するものでもないんだが
 今になって思い起こしてしまう
 最後まで砂が落ちる時間までを待ったことがない
 子供らしからず終焉を恐れたか
 幾つになっても『終わり』という瞬間には
 出会いたくないものなのだ


自由詩 砂時計 Copyright 佐白光 2025-11-01 00:45:22
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