足元の新聞
花野誉
新聞という情報ツールに
改めて、心底感心させられる
新聞配達をしていた十代の頃
それは重くて辛い紙束
それはただの新聞紙
日曜日の午後、夫の髪を染める
風呂場へ行く夫を見送り
足元の新聞紙を片付ける
目の前
広がる記事の海
読み落としていた記事もある
政治に 経済に 社会に 文化に 生活に
多種多様な世界が
毎日 毎日 毎日 提供される
この一つ一つの記事に
どれだけの人が関わり
どれだけの人が心と身体を駆使したか
胸熱く読む私に
「着替えはー?」と、向こうから声がする
「はいはい」と応じつつ
ふと目に入る記事の見出し
──妻からの暴言に悩む夫達
思わず、片方の口元が上がる
あなたは恐らくツイてる夫
今の時点では