時間の中の自由
杉原詠二(黒髪)
わたしが願う物語は
永遠の詩情に満ちた
風と雲と空と草木山川と動物と人が
みな自然に穏やかに
調和しながら
陽の光の中で安らぐことが
ずっと続くような物語
それぞれの役割があり
それぞれの個性があり
それぞれの本能と智慧がある
みんなが喜んで
誰も傷つかないで
永遠の時の中の
たった少しを
その瞬間のはらむ永遠と
溶けあわせながら
最上を謳歌する
楽園の物語
そこでは全てのものが美しく
誰も困窮せず
病にかからず
老いもしない
実は私の家の周囲の自然の様子に
なぞらえて考えたんだ
その外にも
各地の楽園の様子を想像した
人のアイディアは
いつか実現されるから
もう苦しいことが起こらないように
わたしは願っている
世界各地それぞれの風土に
楽園は存在する
そしてそれぞれの在り方で
存在すれば
それはきっと
みんなが相互に訪れることのできる
移動も可能である
時間の中の自由の物語
かつて存在した
地球各地の楽園は
その現出において
地球が確かに作り出した
従って不可能ではない
科学技術の粋を集め
水と土壌と生命の
織り成す
犠牲のない楽園
そうした理想へ向けて
わたしは現実に働きかける
夢や希望は自分が持つものであり
人にもらうものでも
人にあげるものでもないから
わたしは現実に対して
自分の見たい夢を見よう
わたしの視座において
楽園は永続する
瞬間の中の永遠を
知っているから
人はその実現として
いっときの夢を見る
それが人の世界への信頼だ