五感と彼女たちの泡沫3
泡沫の僕
勝手に食われる檸檬の葉、勝手に食らって育つ青虫。
一株の檸檬の葉では少なすぎる。
「公園に檸檬の苗をいくつも植えたらいいじゃん(笑)」
君ならそんな事を言うかもね。
そんな声に頭の中で返事をする。
「そうだね。生き物をむやみに殺めるのは、業を深めるからね。」
二日酔いの頭で、青虫たちの引っ越しに取りかかった。
伸ばされたツノに触れて、手は青臭くなった。
そのうち気付くのは彼等にも個性があって
臭角を出す奴と出さない奴がいる。
そうさ、色んな奴がいたっていい。
何故か少し嬉しくなった僕の心に、浮かび消える君の微笑み。
君がいてくれたらなぁ!君がそばにいてくれたらなぁ!
音量を上げて、過去を振り切ろうとした。