あわいの手
花野誉


白くて水をたっぷり含んだような手

節の見えない長めの指

綺麗な淡色のマニキュア

カウンターに置かれたそれは
何か美しい生き物のように魅惑的で

コツコツと爪音立てて上下するたび
見つめてしまう

赤ちゃんがそのまま大きくなったような
手の甲のへこみに

幼さと成熟のあわいを見る

その柔い手を
優しく包む人がいるのも知っている

幼い時分の貴女と今の貴女
まるで別人かのように見える
時折、遠くに感じてしまう

それでも
その手の甲のへこみが
私を安心させる

まちがいなく
この手は
私の娘のものなんだと






自由詩 あわいの手 Copyright 花野誉 2025-10-24 15:30:34
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