暖雪
りつ

優しい夜は
ためいきをつきながら満足して
逝く秋を見送っている
遠くを走る電車の轍の音が
近く聴こえる
各駅停車に揺られながら
あなたに会いに行こうか
そんな空想をしながら
夜空に微笑む
12等星は視えなくても
確かに輝いているのだから
寂しくはない
冷たい風は遠慮がちに
そっと吹く
好きという気持ちは
失われることはない
淡い薔薇色のリボンで結わえて
胸の奥にしまった気持ちは
夜になると
自由に羽ばたき始める
来る冬は木枯らしも吹くだろう
だけど
私のこころには
暖かな雪が降っている
柔らかに降り積もる
羽根のような雪が


自由詩 暖雪 Copyright りつ 2025-10-22 23:37:03
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