暖雪
りつ
優しい夜は
ためいきをつきながら満足して
逝く秋を見送っている
遠くを走る電車の轍の音が
近く聴こえる
各駅停車に揺られながら
あなたに会いに行こうか
そんな空想をしながら
夜空に微笑む
12等星は視えなくても
確かに輝いているのだから
寂しくはない
冷たい風は遠慮がちに
そっと吹く
好きという気持ちは
失われることはない
淡い薔薇色のリボンで結わえて
胸の奥にしまった気持ちは
夜になると
自由に羽ばたき始める
来る冬は木枯らしも吹くだろう
だけど
私のこころには
暖かな雪が降っている
柔らかに降り積もる
羽根のような雪が