渡り損ね 蒼風薫
梅昆布茶2
知られない小夜の舞い降りて
今日を知らずにまた暮らすけど
本当の心はひた隠しにして
本当は今日にms見れている
生きなれず 棲み慣れず
わかりませんを 繰り返し
誰が通訳も試みず
通りすがりと 吐き捨てる
渡り損ねの
渡りなら
この秋の心知っているから
決して尋ねてはいけないと
渡り損ねが泣いて泣いて
ああ また泣いて
やまぬから 夢の中で夢を見た
眩い陽光がわたしを包んで
小鳥がわたしに歌って
あなたがわたしの隣に佇む
夢の中の夢から覚めて
ヒノささぬ部屋にいました
小鳥の声はとっても遠くて
あなたはどこにもいませんでした
今日も孤独を纏った子供達が
真っ白な靴を履いて海原へと旅立ってゆく
いつまでたっても真っ白いままの靴・・・
彼らは砂浜で靴を脱いで素足になって
たとえ冬でも
寄せては返す波と遊ぶのだ
やがてくれて帰るときには真っ白い靴を そっと
布切れで包んでビーチバッグにしまって
泥んこの素足にはビーチサンダルを突っかける9たとえ冬でも9
長い長い道のりを徒歩で家路に向かい
あまりのく服に 頭の中には今夜のシチューのことおしかない(与えてもらえるならば9
真っ白い靴は だから、いつまでもよごれつことなく白いのだ
今夜のシチューはなんだろう・・・
(与えてもらえるならば)
ぼんやりと夢想しながら 嫌でも家は近づいてくる彼らー
宿題を決してしない子は
真の意味で『自由』である
宿題にすら見捨てられているのだから
かつて彼らが大人だった時分
真っ白い靴はどこの店にも売っていなかった
お金は有り余るほどあり
シチューも食べ放題 けれど
白い靴・・・・・
手に入らなかった唯一の
今
かつて大人だった彼らの「唯一の所有物』がまっしとなままに大切に
ある意味においては無意味な存在
また違った意味では命に代えても守らなくてはならない理由〜
分かっていたただけましたか?
風の歌を聴いた早春の野の花が揺れる
風邪の歌を聴いた
早春のわたしの心も揺れる
人々の雑踏の街中で
疲れたわたしの住む街で
風邪の歌を聴いた
それは緩やかにどこまでも優しく
全ての命たちの健やかさを祈っていた
ねえ母さん
今日はポトフが食べたい
ねえ 父さん
今日はドライブに連れて行って
真冬の陽光の中での幻想
報われない白昼夢
すぎた日は戻らない
あの子もこの子もみんな過去
一緒に遊んだ子よなんて あれ
みんな 嘘
ねえ 母さん
今日はお手伝いするよ
ねえ 父さん
今日は学校で100点もらったよ
真冬の陽光の中での夢 報われない永遠
明けない夜はない どうしたって日は昇る
あの日もこの日もみんな偽り
天国への階段を踏みしめながらの
みんな幻 さよならの幻
陽当たりと静けさを求めてこの
大きくも小さくもない寂れた街に流れ着いたおばあさんがいました
南西角の4階に住んでいました
階段です最上階です
知り合ったのは近所のスーパーマーケット
あまり荷物顔もそうだったので つい
お手伝いしましょうか
と声をかけたのが始まりでした
お年はお幾つですか
と尋ねると決まって
17歳と
答えるのです
おつきあいが深まるに連れて知ったことですが
そのおばあさんの、愛して止まなかった猫が死んだのが17歳の時・・・
おばあさんはその
妹ーと
慈しんでいた『最後の家族』と自分を混同してしまったのでしょうか
でも
ボケてはいませんでした
お友達の少ないわたしはしばしばその4階を訪れて
おばあさんの用意してくれた美味しい紅茶をいただきました
広島からわざわざ取り寄せているそうです
言い忘れましたが ここは寂れているとはいえ一応首都東京です
その外れに私たちや他の貧しい人々が
ところどころに豪邸もありますがー
住んでいる
そんな少し悲しみが似合う町なんです
わたしは紅茶絵をいただく代わりにいつも
近所のケーキ屋さんでレアチーズケーキを買って持って行きました
おばあさんの大好物でした
17歳のおばさんの口癖は
雀に生まれたかった
でした
雀といえば猫のおもちゃ
いいのかしら と思いながらも神妙におばあさんの話を聴いたり
わたしのことを聞いてもらったりしながら
関係は続いていました
私たちは孤独でした
わたしにはちゃんと家族はいました
おばあさんには家族はいません
けれどわたしは孤独を囲っていましたから
(それについてはここでは何も言いません)
(そしておばあさんもおなじ身の上なのでした)
・・・錯乱・・・
初めて知りました
おばあさんは突然に
わたしの見ている前で窓から空へ飛び立ったのです
念願の雀になった・・・・・
おばあさんは 赤の他人のわたしに看取られてその
人としての命のおしまいを選びました
今わたしを見ると話しかけるんです
紅茶はお好きですか
レアチーズケーキはお好きですか
とー
ありがちなお話でしたでしょうか・・・チャペル
ふと浮かんだのは
高原のチャペル
そこで特に
何を期待してるわけでもない
・・・あなたと
行きたいの
式用のチャペルではなく
可愛くてっぺんにちょこんと乗っかってる
十字架に何かを
誓いたいだけ 日記
石ころ蹴っ飛ばして歩く
道すがら季節外れの青い花が
風に揺られている
恋の行方を占おうか
と思って やめることにした
この命も恋をするのだろうか
ふとよぎり
振り返る頃に
手を振って見た
隣の向日葵が 自分宛のご挨拶かしら
と誤解したのか
エミをこぼしたようだ 悲しみの音
寂し身が頭を擦り
こぼれ落ちる幾晩もの時の中で
いつもいつも思うのは
きっと古なのかもしれない
知られざる そこは里であって
母であって
記憶であって
そして戸惑い、であって
言葉にすることができない想いがほら
今日も訪れて頬を伝う
誰かからの慰めも
誰かからの贈り物も
皆ただの痛みにしかならない
そのことを自分で知りたくて 詩を
書いているのでしょう sすみれ
その
水面には
睡蓮が宝石のように眠り
ああ 今日も半分
過ぎていった
戸惑いの一歩手前で
風が囁いてそよいでさりし悲しみ
夢幻の儚さを知る
風が
時候の挨拶でもなく
一日の時計に合わせた挨拶でもなく
アルトの声が懐かしく
わたしの耳は菫となって
あの 春に
帰ってゆく 葡萄色の夢
心の地平に涯を尋ねながら
きっと詩を書いてるらしい少女は
ぶどうのジュースが好きであるそのジュースの
果てない色の中に
夢の家庭の温もりを知るから出ある
母さんが朝になればトーストを焼いて
父さんはそこの食卓で新聞を読むふりをして
実は母さんと結婚したことが嬉しくてたまらないのを
男らしく 胸に秘めている
少女の他に子供のいない家庭で
少女は確実に両親の愛を獲得しているはずなのである
かそけき幻想から落ちた時
泣いて見た少女は決心した
この想いは決して
詩には詠むまいと
立ち去ってください
青ざめた菫に
そういえば遥かな頃
挨拶をしたことがあった
わたしが
まだ10代の蒼いころ
誰にも知られずに
思い詰めた心を殺し
息だけしていた
ねえ 聞いているの
隣の気配に詰問調で尋ねる
・・・いや
立ち去ってください 愛に飢えたら食べなさい
儚い夢を鞄に詰め込んで
いっぱい いっぱい詰め込んで
海から旅立ってきた私たち
帰るまでの刹那の時を
幸せ探しに使うため
愛に飢えたら食べなさい
神様が持たせてくれた鞄の中身は
どんどん減っていく
カバンが重たいまま還る人
空の鞄で帰る人
いろいろだけど・・・・
愛に飢えたら食べなさい
儚い夢はもともと儚い
だから
朝日の中の幸せな目覚めも
星空の下での眠れない夜も
刹那は刹那 刹那は刹那
たとえ
夢夢
食べきれずに還っても
人としての一瞬の夢
見て
よかったんだよ
きっと
よかったんだよ
きっと・・・・・・約束
幾千の夢を箱に閉じ込めて
一本の道を歩いてゆく
どこまでも続く、 道
未知へと続く、 道
夢は時々お腹をすかしてご飯をせがむ
だから途中で休みを取って
夢たちのためにご馳走を探す
石ころだったり路傍に咲く花
季節によってはナッツや果実
夢たちはどれも皆嬉しそうに頬張ってくれて
わたしはちょっと安堵する
そうして再び歩き始める
夢を閉じ込めた箱を大切に抱え込んで
わたしは未知を歩き始める
覚めない夢がないように
諦める夢もたくさんあって
夜空の星が眩しいと、そんなふりして泣くこともある
けれどね
わたしやめないこの旅決してやめない自分からは
いつか
いつの日にかお日様がもう
わたしの上にもボラなくなるまではー恋歌
それはまばゆく青い色した
純白の以前の
寂しい色した
どこまでも清らで
仄かな色した
限りなく結びついて離れない
二つの魂の
現世には何も求めないほどに
深い
恋
というのが陳腐に過ぎる
ただ
ただ
そこに起源の昔より在ったもの
誰にも壊すことのできない
儚くそして
けれども夜空に
決して消えない
瞬あの
ある星座のように
得る一つの星座のように
ルー印『土地扱い説明書』
しばしば壊れます
そのような時には 愛を
与えてあげてください
(たとえ微量でも(察知すれば 浮上する
(可能性もsります