フリカゲル
熊倉ミハイ

待っているのか
降りれるはずの日々を
いまを演じきった子どもたちの
この喉元の騒がしさを

指 切り
鼻の中ではコオロギが
照れ笑い
ブルーで、低い街から
人間に似た姿をしていく
クエスチョンマークの背筋が凍る
コスモスの眼は
踊り方を見ている
砕けてしまった尾骶骨を見ている
木の実の落ちるショーのチケットに、誰もが触れる

舌打ちした
小さい雪たち
指の先から
プレスされていく寒夜に息が
宙に浮くシーソーからやって来た
遠くに投げても
燕返して、帰宅
その私の血流と忘れ物
怒りの中にテイクアウトできるまで
祈りをモノマネしても、ウケないのだった
占い師の群れが
水晶玉に吸い込まれていた
あの秋の夕暮れ
火鉢の中にしばらく住んで

時に焦げ臭い星を見上げる
ずっと同じ考えを持とう
そんな家に入りたかった
少年は雪に埋もれた腕時計を拾い
水の惑星と交信する
母乳の品質にケチをつけた父を思い出しながら
青くて赤くて白い雪を投げる
冷やかしは帰れ
やっぱ来てくれ
灯火の無い今日も

産毛を確認するハリボテの夜
煙草屋で出会った
もらい火をする浮浪の鵺
流星群には飽き飽きしました
そう言って万年筆のインクを棄てる
焔のような老婆も
切れた肌へフェードアウトしつつある


自由詩 フリカゲル Copyright 熊倉ミハイ 2025-10-16 08:03:32
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