なくした栞
唐草フウ

濃紺のとおいとおい沖
そこだけ白く光る帆
透いた筏の上に
栞が挟まっている
厚い無地の記憶に
プレスされた 絵はわたし
どんなにのぞんでも
やさしい明け方の帯は
沖へと踊らされる

栞は挟まったまま
この世のくぼみからも離れて







自由詩 なくした栞 Copyright 唐草フウ 2025-10-15 17:00:42
notebook Home