osmanthus tear
むぎのようこ



野路をとおりぬける
あかや、きいろ
の、光にあやかって
秋になる

やわらかな処から
いたみ
所作のたしかさに
むくの
下地の剥げた椅子が
ころがる

部屋いっぱいに
暮れたいろが
いちめんの街に
ひたひたに寄せている
かおりは不可視

ずっと
目隠しをして
あるいてしまった
さきぼそった影は
やみにとけて
もう、ずっと
正体がわからない

やさしさは雨
濡れている、皆
わかりきった言葉のさきに
虹をみたくて
駈足の野路は
やわらかく
いろづきから
踏まれる

名前をつけない

姿形を探さない

ただしいことには
息をうんと
潜めて、ひそやかに
ひそやかに
祈るように、たしかに、
あきらかに
どこかに
かかる橋を瞼に

かこって、








自由詩 osmanthus tear Copyright むぎのようこ 2025-10-13 14:17:53
notebook Home