ししゅん
本田憲嵩

そっと踏みいる、それへの入り口。プールサイドの縁に紺いろの靴下を濡らす。夏の制服姿の少女が夏の制服姿のまま水色のプールの中へと入ってゆく。やがて肩の上から頭のてっぺんまでをも水色の水鏡へとゆっくりと沈みこませて。そんなことをしてみる、きみのからだとセーラー服はもちろんとても濡れている。なぜならそれは思春期特有の。
校舎の三階の教室から吹奏楽部のメロディーが初夏の風にのって響いてくる。



自由詩 ししゅん Copyright 本田憲嵩 2025-10-08 23:02:38
notebook Home