水精Ⅴ
本田憲嵩
余韻の水溶、
不規則な周期で、
ほろほろと何度も崩れかかる、
水面に映りこむ蜃気楼、
そのぼくらの抱擁と微睡みのマーブル模様、
そのきわめて曲線的な光の屈折率に、
目くるめく眩暈が比例してゆく、
比例してゆく、
やがて、ふたつの病熱の輪郭の光線と満月によって、
濃いブルートパーズ色に感光した、
とても深い海の中を、
ふたり逆しまになって落ちてゆく落ちてゆく、
――朝日が射し込んでくる、爽やかなアクアマリン、
自由詩
水精Ⅴ
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本田憲嵩
2025-10-07 06:29:03
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