秋の夜に
洗貝新

 

                        満月の下をくぐらせるペダルは軽い
 前屈みに夜の街を疾走して行く自転車 
                   きみの姿を見かけなくなってからひと月が経って     日曜日の次の朝は静寂に 思いのほか言葉があふれててくるよ
      窓ガラスに映る白い影       そういえば誰かがもらってきたシャム猫のジル  じっと縁側の前で僕の帰りを待っていたな     
涼しい夜風に煽られて   いまは言葉を考えているよ      
                           灯りを翳した満月が  いときれ雲を引き連れて山に降りていく   
  
   もう秋なのか   
  


              



自由詩 秋の夜に Copyright 洗貝新 2025-10-06 05:26:05
notebook Home