人生の第三章が始まる
桜 歩美

人生の第一章
愛されない思い出
愛していると勘違いしている
高度経済成長期の教育至上主義者の親のもと
それでも期待に応えれば
私は愛されると信じていた幼い私
豊かな時代に人々は夢追い求め
子供に何か叶えられなかった夢を見ていたような

ここにいては私は私でなくなると
逃げ出した
そして自立とともに
何の助けも借りず生きていく覚悟をして
愛する人に全てを賭けて
そして
息子が生まれた

第二章
息子との人生
愛がわからない私に
愛を全力で注ぎたい気持ちが
交錯して悩み尽きない日々
学歴というものの価値の未知数
大学へ進むべきか問われた時の混乱
幸せな人生に必要なものを考える毎日
幸せになってほしい
そればかり考えて
あっという間に終わっていた
第二章

そして、、、
息子は頑張った
そんな本当に無力な私の不器用な愛のもと
なんて優しく朗らかに
時に母に見せない努力をして
友達を作る大切さを学んで
巣立った
これからの第三章が始まる

第三章は私の生きる道の最終章だ
愛を勘違いした母の介護が始まる
本当の母の愛というものを
息子を育てながら思い知った私は
母を正面から見ることができない
その気持ちをどうやり過ごすのか
それは自分自身をきちんと生きる事だと思う
行きたい場所へ行き
やりたい事をやる
全部我慢して来た事だったけれど
今こそ解き放つべきなのだ

そうすればきっと許せる
悪気のない母のことを
お人形を育てている気持ちと言われたことも
そのうち忘れて
息子のほがらかな笑顔を思い出して
前を向いて生きていこう


自由詩 人生の第三章が始まる Copyright 桜 歩美 2025-10-04 22:01:38
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