By Chance
りつ

くさやを餌に釣りをする
あまりの臭さに
あたりの雑魚たちは
気絶してぷかぷか
折れないハートの竿を握り
《絆》というご縁の糸を垂らす
一向に釣れないけれど
根気よく根気よくジギングジギング
たまたま欠伸をした龍が
餌をがっちり吸い込んだ
ここからは体力勝負
ここで逢ったが千年目
逃してなるか!
袖すり合うも多生の縁だから
次はいったい何千年後か
すると気紛れを起こした龍は
水上に顔を出し
青銅の鱗を煌めかした
 ナンカヨウカイ
 私が探していたのは《あなた》だ
それを聴いた龍は大笑し
夕日の向こうに泳いでいった

糸は繋がったまま


自由詩 By Chance Copyright りつ 2025-09-27 17:47:53
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