【贋作】『サラダ記念日』
藤原 実

  【贋作】『サラダ記念日』

 女宛送る手紙に『友情論』を引用してるだあれあなたは

 愛告げてしまいたけれど遠景の似合うあなたをしばらく惜しむ

 「その歌はよせよ」と君がぽつり言うこの曲と決めマイクもつ吾に

 愛ひとつ受けとめられず泳ぐ君太平洋も花いちもんめ

 さっきまで鏡にあった抽象画 誰の泣き顔?知らない知らない

 愛人でいいのとうたう歌手がいて 愛したいの?愛されたいの?

 言の葉の裏を返して見てみたい 時には長い手紙を書いて

 一プラス一の答えにたどりつくまでの迷宮なのか人生は

 クロッカスの花閉じる夜に愛されて「今日のことは忘れない。明日までは」

 立ったままバーガーショップで自由は眠る一所不在の待ち人として

 左手でジグソーパズルの最後のピース置くように言う さよなら

 そら豆のはじける音で思い出す 一分間だけ眼を閉じてみる


短歌 【贋作】『サラダ記念日』 Copyright 藤原 実 2005-06-01 22:05:32
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