相対的に大きな松と宇宙を育む
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子供がひとり
園庭の松の木の半ばに
枝葉の中に隠れるように腰かけて
松葉相撲をしていた
何度も何度も
敗れた方を空中へ散らし
亡骸を見送る
間もなく次の葉をむしり取り戦わせる
何度も何度も
戦い続ける葉に何か思うところでもあるのか
わざと負けさせたりもしていた
その子は
自身の宇宙を育てることが何よりも大切で
邪魔をする全てが 特に子供が嫌いだったから
先生に呼ばれるまでひとりきり
松葉相撲をしていた
その手は
こちらの世界に触れることを拒むようにベタついていたが
完全に落とすまで洗う時間をもらえなかったので
迎えに来た親の手は取らなかった