リボン
そらの珊瑚
あ、季節が変わったなと
皮膚がおもう
湿度を手放した風が
腕の産毛に触れて去ったあと
なつかしい秋を感じた
蝉のいのちは地の下へ
コオロギの鈴と入れ替わる
空も変わった
こんな青を描いてみたかった、というような
今日の惑星の青を胸に吸い込む
若さは戻らないけれど
若い時はこんな青は知らなかった
白いリボンが空に浮かんでいる
今にも消えていきそうなキミは
わたしがいつか失くしたリボン
大切だったはずなに
なんで手放したのか覚えてはいない
キミはフリルをふるわせて薄情だと責めもせず
空にむかって手を伸ばしたら?
つかめるかもよ、と
キミがついた嘘は
やさしいまほろ