藤袴
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フジバカマが 咲いてた 千年前 袴みたい と笑った子がいた

アサギマダラのオス は その花の蜜を なぜか精力剤に使う

皆 気が狂ったように 河を憎んで そこにフジバカマが 咲いた

何も言えなくなる 脳裏に咲く 千年前の 河のほとり

フジバカマが 西暦2025年のどこにもないと 誰かは気付いたけど

どうして 絶滅するのか 分からないんだ 幸せすぎて 思い出せない

俺達は 絶滅するほど 憎いんだよ その河に 呑まれた魂の数が

フジバカマ は もう帰って来ない 誰かの面影だ

咲かない方が 良い 花なんだ あの花の 咲くところには

河が 流れる!

もう アサギマダラしか 見付けられない花 私は 好きだ

アサギマダラも 精力剤も 袴の形のお花も 河も 好きだ

戻ってこないのに 咲いている 何もなかったみたいに

あの子が 憎いんだ 悲しいんだ 嬉しかった から つらいんだ

河のほとりで あの子も あの花も 過ぎた千年も 戻らないまま

フジバカマと アサギマダラが 記憶の中で 風に吹かれて 揺れる

河が 流れる 嬉しかったんだ でも もう 帰って来ない なのに

まだ 世界の どこかで アサギマダラは あの花を探して飛ぶ

私の 頭の中の アサギマダラ 連れてって フジバカマ の ところへ

あのひとに 教えたいから その花ではなく 私を 憎んで欲しい と

藤袴 河の ほとりで ずっと見ていた 遠い遠い 海に帰る日の 太陽

河が 流れる 袴みたい? もう いいんだ どうか 幸せ にな


自由詩 藤袴 Copyright guest 2025-09-16 21:16:44
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