淋しさ
りつ

桃谷から梅田へ

夕方5時過ぎの壮絶な夕焼けに
何故か泣けてきたんだっけ
声を出さずに泣くのは得意だったから
誰も気づくひとはいなかった
世界を美しいと思ったわけではない
茜色に感動したわけでもない
ただただ、哀しかった
私には帰る場所がなかった
家はあった
だけどそれは灯りのついた
我が家ではなかった
ここではない何処か
名前も知らない町をさ迷って彷徨って
野垂れ死んでも良かった
同じことばを話しても
こころは通じない
記念写真に写るような作り笑いを
噓。と見抜くひとはいなかった
ひとは信じたいことしか信じない
そういうものだ

淋しさを覚えたのは
つい最近のこと

それは
固くて青い
レモンの味がした


自由詩 淋しさ Copyright りつ 2025-09-16 01:55:39
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