土砂降り
りつ

晴れた日に傘を貸し
雨の日に傘を奪う

どうやら
それが流行りみたいだ

他人だもんね
困ろうが狼狽えようが
観客席からは滑稽に見えるのだろう


土砂降りになって
みんな借りてた傘を取り上げられた

私は破れたビニール傘しか持ってなかったが
それを泣き出しそうな少女にあげた
私よりも少女の方が
傘がいるように思えたからだ

偽善者だと思われたって構わない
ちっぽけな偽善が必要なほど
世間は無味乾燥だ

外は土砂降り
お陰さまで
シャワーを浴びる手間が省ける

だけどね、
こんな日は
私だって大声で泣いたっていいだろう?


待ち人は、来なかった。



自由詩 土砂降り Copyright りつ 2025-09-14 08:54:56
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