「 夜のアンモナイト。 」
PULL.






夜のアンモナイトは仄かに蒼く光る。
海の恋人を想い出し、蒼くさめざめと光る。


遙か遙か白亜の海の底、アンモナイトの恋人達は。
手をつなぎ、心をつなぎ、ちゅらと散歩。

ふゆらゆらと、
流れに揺られ誘われ、
時には殻がごっつんこ。
にっこり笑ってキスをして、
海草の影でねっとり愛を交わして、アンモラルナイト。

遙か遙か白亜の海の底、アンモナイトの恋人達は。
手をつなぎ、心をつなぎ、永久の愛を交わしました。

だけどある日。
とっても大きな石さんが、
空からひゅーん降ってきて、
ちゅどぉーんと海に落ちました。

あんなに堅く契り合った手と手なのに、
あんなに深く愛し交した殻と殻なのに、
津波津波の大津波、千切れて離れて、逝く年月。

そしてアンモナイトは化石になりました。
そしてアンモナイトは孤独な化石になりました。


夜のアンモナイトは蒼い真珠の涙を流す。
ほろほろと、海の恋人を想い出し、蒼く深海に泣き暮れる。







自由詩 「 夜のアンモナイト。 」 Copyright PULL. 2005-06-01 09:01:27
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