ツギハギの思い出
つむぎ
今年の夏のこと
ゆっくり布団でくつろいでいたら
強い力を忘れる軽さだ
山が見えると空気も揺れる
深い波より まぶたも閉じられ
スイカやメロンが頭に浮かぶ
カラスのくちばしに 突かれて残る
美味しいスイカとメロン
明日食べている夢を見る
作業の思い出
途切れ途切れに 運ばれる
静けさと共に人の足音
シールを貼って
野菜を分けて袋詰め
乾燥した匂いの無機質な部屋で
同じ事を探して確かめ
廊下の光を感じていた
元いた場所に 帰りたかった
カレンダーがはっきり見えた
職員が休もうと帽子を取った
なぜかゲームの筋書きを思い出して
幼い時に帰ったようだった
見学の思い出
建物の中は思ったより狭くて
活気があって 書類や品物であふれていた
大人になったらテープを貼ったり荷物を積んだり
この職場で働けたら幸せだと思った
お昼は展望台に昇って食べて
妙にはしゃいでいたのだ
事務員として人として貢献できないまま
時は流れ 何度春が訪れても
時々思い出す
楽しむために 時間があった
心の根っこはあの頃と変わらない
現実的にはかなわなかった夢だけど
年は取り 一瞬の夢だったのだと思う
分からない言葉遊び
まかぷーののろいだ! と誰かが言っていた
意味のない単語からひらめいた子どもの言葉だった
まかぷーが誰だか分からないけど
笑っていたあの男子の声が楽しそうだった
陽気な顔で 何度も笑って